歩くようになって感じるのは、東京では実に歩行者の立場が弱いなと言うことだ。
自転車や車との棲み分けがはっきりしていないため、”歩く”ことが随分ないがしろにされていると思う。ただでさえ狭い歩道は違法駐輪でなお狭くなり、普通に歩いていても後ろから来る自転車にチリンチリンと鳴らされ、その度に道を譲らねばならない。SO ANNOYING!!!
横断歩道で車が止まってくれないのも驚き。特にタクシーは絶対止まらない。
歳とともにイラチな私はやや強引に一歩踏み出すことになるが、タイミングを間違えるとこれ結構アブナい。
皆さんはじっと車の列をやり過ごしてからお行儀良く渡られる。じゃ何のための横断歩道なのよ???と思う。
写真のような目立つ歩行者だときっちり止まってくれるのかしら。。。
話は変わるが90年に渡英してすぐの頃、送ったデモテープに興味があると言われEMIのアビーロードスタジオに呼び出された。残念ながらディールには至らなかったがヴィザをどうするかも全く見通しが立たなかった頃、メジャーからの一本の電話には大いに勇気づけられたものだ。
世界で最も有名なバンドの数々のレコードはこのアビーロードスタジオで録音された。
写真の白いフォルクスワーゲン(beetle!!!)のすぐ左手である。
春になると、昔聴いていた音楽が気になる。
例えば、ビートルズ、クリーム、ピンクフロイドといったところは、十代の必須アイテム。それ以外に、よく聴いていたのが、ビーチボーイズ、バートバカラックやジミーウェブ。それこそ、レコードの溝がなくなってしまうくらい聴いていたものだ。
数年前、あるイベントで、ジミーウェブが生でWichita Linemanを歌うのを聴いて、思わず涙した。ジミー本人は、人生の荒波を越えてか昔の面影はほとんどなかったが、歌は昔の新鮮さそのまま。あのシュールとも言える歌詞をもろともせず、何十年もの時間を一瞬で消してしまうだなんて、やっぱりウタってすごい。
ちなみに、Bloc Party, Clap Your Hands Say YeahやHer Space HolidayがいるWichita Recordings、UKでもっともクールなレーベルのひとつであるこのレーベルの名前は、Wichita Linemanから来ているらしい。
写真は、そのJimmy Webbが大きく影響を受けたというBurt Bacharach。彼の音楽、そしてHal Davidの歌詞の偉大さについては
また改めて。
素晴らしいギターメーカー・リペアラーとの出会いがあった。上野毛にある玉利屋の玉利さんである。すでにGIBSON L-4, OVATIONの二本の調整をお願いした。ゆくゆく我が家のギターのすべてはこちらで面倒をみていただくことになると思う。
単なる楽器職人としてではなく、常にギターを通した”音楽”を意識しておられるその姿勢は、音楽家にとっては心から信頼できる存在である。
写真はその玉利屋さんオリジナル・ギター。マホガニー材を丹念に削りだして仕上げられたボディはストラトよりは一回り大きいというか長い。独特の生鳴り。一言で言えば音は太いがマッチングの良いトレモロアームとの組み合わせで、その表現力は繊細から極太まで信じられないほど幅広い。15分試奏するうちに二つも三つもアイデアが浮かぶような、インスピレーションをくれる大器である。
アメリカの著名な学者、フリーマンダイソンが80を過ぎて、各方面から攻撃を受けているという。攻撃されているのは、彼の地球温暖化に関する発言。CO2なんて騒ぐほど危険なものじゅないとか、だったらCO2を取り除く植物を遺伝子組み換えでつくればいいとか、とにかく温暖化を警告する学者や知識人を揶揄しているとも言える発言で、今や四面楚歌に近い状態らしい。
フリーマンは、もともとは数学者、物理学者。それが今は、天文学や遺伝子工学、多方面に渡って研究、執筆している。
ずっと昔、ある講演会でフリーマンがヤジを受けているのを、この目でみたことがある。その時は、宇宙で育つ植物のような宇宙船をつくればいいという発言をして、かなりのブーイングを受けていた。ちなみにこの人、アメリカの超頭脳が集まるPrinceton Institute of Advanced Studiesにいる人だ。アインシュタインも、オッペンハイマーもいたという超頭脳集団。そこの中心人物のひとりである。
ニューヨークタイムズは、結局フリーマンが言いたいのは人間の可能性についてだ、と柔らかく味方している。そう、可能性。可能性って、無限大だけど、哀しみを伴うものだ。無限大の可能性の隣には無限大の後悔。その空虚さがわかっている者だけが、足を踏み入れる暗黒の世界。生意気に聞こえるかも知れないけれど、フリーマンに向けられたヤジ以来、ずっと頭を離れない思いがある。その一片が、science of farewellという、アルバムmoonriseの中の一曲になったというお話。